タンパク質の2次元コンタクトマップをアミノ酸配列のみから作成する方法

論文タイトル

Unveiling Conserved Allosteric Hot Spots in Protein Domains from Sequences

出典

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要旨

タンパク質のアミノ酸配列情報から2次元コンタクトマップを作成する手法を紹介した論文です。

解説など

2次元コンタクトマップは、タンパク質において2つのアミノ酸残基間の接触の有無を可視化したマップです。タンパク質は高次構造により離れた残基間で相互作用し得るため、タンパク質の構造を推定するうえで役に立つ情報です。特に特定の領域で起こった相互作用が離れた位置の構造変化に影響を与えるとき、このコンタクトマップがあると、そのメカニズムを精緻に推測することができます。

結晶構造解析由来のデータや AlphaFold による予測モデルなどがあれば、簡単にコンタクトマップを作成することができますが、筆者らはこれらの情報に頼らずに配列のみからコンタクトマップを構築する方法を提案しています。彼らは開発した手法を、”pattern-matching approach”と表現しています。

具体的には、次の手順を辿って、コンタクトマップの作成とその後のアロステリック制御メカニズムの解明をおこなっています。

  • 対象となるタンパク質のホモロジー配列を、JackHMMER を用いて PDB データベースから抽出
  • ホモロジー配列間において、保存された配列モチーフ(4アミノ酸残基以内、各残基間距離が8Å 以内)を抽出
  • コンタクトマップを作成
  • 各残基に対して、エントロピー転移を算出

筆者らはこの手法を、以下4種類のタンパク質ファミリーに適応して、実用例を示しています。

  • dihydrofolate reductase (DHFR)
  • PSD-95/Discs-large/ZO-1 (PDZ)
  • SRC Homology 3 (SH3)
  • S1000