論文タイトル
Preclinical proof of principle for orally delivered Th17 antagonist miniproteins
出典
要旨
計算機で IL-23R binder と、IL-17A binder を設計した実施例を報告した論文です。
解説など
デノボバインダーデザインの実施例の紹介です。本論文では、IL-23R binder と、IL-17A binder を計算機で設計しています。
デザインプロセスは、RifDock/RifGen のアプローチとほぼ同様です。
バインダーのホットスポットは、天然の (IL-23, IL-17R の) 複合体情報、もしくはインシリコで RifGen を活用して生成します。一方のスキャフォールドは、ミニプロテイン用のスキャフォールドライブラリーから標的抗原とのドッキングシミュレーションで適合する構造を選抜して、そこにホットスポットモチーフを埋め込みます。
配列設計には Rosetta を利用しています。ホットスポットと、スキャフォールドの疎水性コア、ターゲットインターフェースとは無関係な領域については固定して、それ以外の領域を設計対象にデザインします。
デザインした分子のインシリコスクリーニングでは、以下の指標を予測値として算出して活用します。
- binding affinity
- monomer stability
ウェットのスクリーニングでは、各標的について 15,000 個のデザインを遺伝子合成し、酵母ディスプレイでバインダーを選抜しています。得られたバインダーは、single nM の KD を有しており、いずれも three-helix bundle 構造であったとのことです。
得られたバインダーは、部位特異的変異導入法により、さらに親和性や熱安定性を向上しています。
筆者らは、治療用薬剤としてのデザインを試みており、デザインタンパク質の経口投与における動態や免疫原性への影響も部分的に評価しています。ラットへの経口投与により、腸組織への分布は強く確認でき、また高濃度では血中でもデザイン分子の存在を検出することができます。半減期は1時間未満で、素早く消失するとのことです。
免疫原性に関しては、MHC-II 結合しか評価していませんが、低い結合性で低免疫原性であることが示唆されています。