論文タイトル
Atligator Web: A Graphical User Interface for Analysis and Design of Protein–Peptide Interactions
出典
要旨
タンパク質の相互作用解析手法 ATLIGATOR をウェブブラウザで利用できるツールを紹介した論文です。
解説など
ATLIGATOR というタンパク質間相互作用情報をデータベース化し、特徴解析できる手法が過去に公開されています。

本記事で紹介する論文では、その続報としてこれをウェブブラウザで扱えるツールを開発したことが報告されています。
ATLIGATOR は多様な構造情報にもとづいて、幾何学的に出現しやすい残基ペアとその原子配置を見出すことが得意です。特定のリガンド・受容体相互作用のドッキングモデルを予測するというのではなく、解析対象のタンパク質ファミリー間で保存されている結合様式を見出し対象の分子の機能ドメインを類推したり、デザイン用途に結合モチーフをサンプリングしたりするのに適したツールです。深層学習を用いたアプローチではないため、高次元の特徴を捉えたり、foldability を意識したデザインは難しいと考えられます。
本論文では、armadillo repeat protein 由来の構造データセットを解析した事例を紹介しながらウェブツールの使い方を解説しています。
ATLIGATOR そのものの原理についての記述は少ないので、元の論文を参照することをおすすめします。また ATLIGATOR に格納されているデータセットは特定のタンパク質ファミリーのものに限定されているため、汎用的に利用することは難しいと思います。偶然興味のあるタンパク質が ATLIGATOR のデータセットに含まれていたり、筆者らの研究結果を自身で解析したいときに活用する形を想定しています。サーバーリソースの問題もありますので、自身のデータセットを ATLIGATOR のウェブブラウザで解析することも現時点ではできません。これらの目的で利用したい場合は、python パッケージを自身でインストールするのが良いでしょう。