論文タイトル
Design of high specificity binders for peptide-MHC-I complexes
出典
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.11.28.625793v1
要旨
ペプチド-MHC複合体に対するバインダーをデノボデザインした実施例です。
解説など
ペプチド-MHCに対するバインダーデザインの特徴は、標的が複合体であるということと、ペプチドやMHCに対する特異性や交差性の要求が厳しいことにあります。本論文では、RFDiffusion → ProteinMPNN → AlphaFold2 のオーソドックスなデザインアプローチにより、これらの課題を解決したデノボスキャフォールドバインダーを設計できることを証明しています。
手法のポイントについて箇条書きで以下に示します。
- ホットスポットにはペプチドの表面提示側の残基を設定
- デザインした主鎖構造は、pMHC 複合体との contact molecular surface をもとに選抜
- partial diffusion で既存の pMHC バインダーから別のペプチド結合性を示すバインダーデザインが可能
- ペプチドに対する特異性は以下の方法で評価
- ProteinMPNN でペプチドの各アミノ酸残基についての Probability を算出
- AF2 で標的ペプチドと非標的ペプチドそれぞれとの pAE を算出
デノボバインダーから配列依存的なバインダーが生成できることは興味深いです。Diffusion モデルのみで精緻な水素結合を補完することは難しいので、ProteinMPNN や AF2 によるフィルタリングを通してペプチド特異性を示すバインダーを設計していることが特徴的です。このためにもミニバインダーの主鎖構造がきちんと pMHC と形状相補的であることが重要であると考えられます。