【タンパク質デザイン】毒素に対するバインダーをデノボデザイン

論文タイトル

De novo designed proteins neutralize lethal snake venom toxins

出典

De novo designed proteins neutralize lethal snake venom toxins - Nature
Deep learning methods have been used to design proteins that can neutralize the effects of three-finger toxins found in snake venom, which could lead to the dev...

要旨

毒素に対する中和タンパク質をデノボ設計した実施例です。

解説など

純粋なデノボバインダーデザインの実施例の紹介です。本論文では毒素に対する中和分子を設計しています。筆者らが標的とした分子は、Three-finger toxins(3FTxs) と呼ばれる毒素です。この毒素によりもたらされる病は neglected tropical disease と呼ばれ、貧困層を中心に流行しています。そのなかでも snakebite envenoming は最も影響力の高い病気といわれており、治療法の発展が望まれています。現状の治療法では動物免疫由来のポリクローナル抗体が使用されていますが、途上国におけるコールドチェーンの整備の問題もあり扱いやすい薬剤の開発が求められます。

筆者らは、3FTxs の中で、以下の3種類のタンパク質毒素を標的に選定しています。

  • ScNtx: short-chain α-neurotoxin
  • α-cobratoxin: long-chain α-neurotoxin
  • cytotoxin

1,2つ目はエピトープが β シート構造を示していることから、既報の β シートエピトープ標的手法を活用して RFDiffusion で構造生成を試みています。

それに対して、3つ目の抗原では毒素の活性に重要なループ構造をエピトープとしたホットスポット指定に基づいて構造を生成しています。

いずれにおいても、配列設計は ProteinMPNN、候補配列のフィルタリングには AF2 と Rosetta より出力される指標を用いています。選抜されたデザインは100に満たない数を酵母ディスプレイでスクリーニングし、結合活性を示すクローンを partial diffusion で最適化する流れで分子を設計しています。

βストランドの2次構造条件付け手法が続けて応用されていることから手法の汎用性が期待できる報告です。