論文タイトル
AI-assisted protein design to rapidly convert antibody sequences to intrabodies targeting diverse peptides and histone modifications
出典
要旨
既存の抗体を intrabody として機能する分子に変換するための in silico フレームワークデザイン手法を紹介した論文です。
解説など
筆者らは過去に、scFv リンカーの単純な挿入や、安定性の高い既知のフレームワークにループをグラフティングする手法で intrabody 化を試みたもののうまくいかなかった経験があります。それを受けて本論文で彼らは intrabody に変換することで CDR の抗原結合活性が失われたのではなく、ミスフォールディングや可溶性が課題であると仮説を立てて、フレームワークの再設計手法の開発を試みました。
筆者らの Intrabody 化のアプローチは非常にシンプルです。そのプロセスは次のとおりとなります。
- ANARCI で、対象抗体の CDR/FR 領域を決定
- LocalColabFold で、抗体の構造を予測
- ProteinMPNN で、フレームワーク領域の配列を再設計
- LocalColabFold で、抗体の構造を予測し、pLDDT でフィルタリング
各ターゲットに対してデザインは10個程度で、ほとんどの標的に対してうち1個以上は、intrabody としての機能を確認できています。本論文で事例として取り上げられている抗体の標的分子は以下のとおりです。
- FLAGペプチド
- SARS-CoV-2 nucleocapsid protein
- ヒストン修飾各種(アセチル化、メチル化、リン酸化など)
特に pLDDT と intrabody デザインの成功率とは相関がなかったそうです。
一般に細胞内の還元環境で機能できるかどうかに重きが置かれますが、可溶性や凝集性が intrabody 化に大きく寄与するのであれば、生成モデルを用いたスキャフォールディングや配列再設計だけで目的を達成することができることもうなずけます。実際に IVT で intrabody を発現してその熱安定性を評価したところ、親抗体と比べて安定性が改善していたとのことです。
デザインパイプラインはこちらに公開されています。