論文タイトル
Zero-shot antibody design in a 24-well plate
出典
要旨
Chai-2 という最新のAIベース抗体・ミニタンパク質設計モデルの報告です。
解説など
アメリカの Chai Discovery 社からの報告です。前版の Chai-1 は構造予測モデルでしたが、本論文で 著者らは Chai-2 を開発し、「1ターゲットあたり20個の設計でヒットを見つける」という圧倒的に効率的な方法を実現しようとしています。
Chai-2は
- デザイン生成モジュール(Chai-2d)
- 構造予測モジュール(Chai-2f)
を組み合わせた全原子生成パイプラインです。この組み合わせにより、アミノ酸配列と立体構造を一体的に設計しつつ、生成候補の正確な3D構造評価を行います。デザインモジュールでは、バックボーンのみならず、側鎖まで同時にデザインします。アーキテクチャは同グループが以前報告したモデルをベースにしているとのことです。
構造予測モジュールは以前のモデルの改良版で、PLM埋め込み、MSA、テンプレート情報を統合して構造予測を行います。
実際のバインダー設計スキームは次のとおりです。
- AIが標的とエピトープ情報から数百の候補を生成
- モデル内部でスコアリングし、20個程度を選抜
- 合成・発現・精製
- 結合実験(BLI)で評価
計算工程は1日で完了するとのことです。
筆者らは本手法を、
- デノボスキャフォールド
- 抗体(VHH/scFv)
のバインダー設計に適用した実施例を公開しています。
デノボスキャフォールドは RFDiffusion で経験のある標的を中心に検証し、全ターゲットで過去最高水準のヒット率(68%) かつ pM オーダーの標的親和性を示すバインダーの取得に成功しています。
抗体設計では、PDBに既知抗体が存在しない52の新規標的に対して、各20以内のデザインを検証し、26/52ターゲット(50%)で1つ以上のヒットが得られました。平均ヒット率: scFvで13.7%、VHHで20%とのことです。
課題はありつつも、クローナルスクリーニングのみで完結できるヒット率であることと、ここまで大規模に多様な標的に対して検証していることは圧巻です。また実施例の中にヒト–サル交差反応性抗体を両抗原に対して条件付きで設計している事例もあり、応用の幅も広いと感じます。
コードは現時点で未公開ですが、続報に期待しましょう。