【バインダーデザイン】EvoBind で GPCR アゴニストを設計した事例を紹介

論文タイトル

Blind De Novo Design of Dual Cyclic Peptide Agonists Targeting GCGR and GLP1R

出典

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要旨

構造情報を一切使わず、配列情報のみからGタンパク質共役受容体(GPCR)に作用する環状ペプチドアゴニストを設計する初の成功例を報告しています。

解説など

EvoBind の実施例です。

EvoBind はデザインプロセスの中で逐次的に構造を予測する手法であり、標的の配列情報のみを入力としてパイプラインを実行することができます。筆者らはGPCRの一種であるグルカゴン受容体 (GCGR) に対する環状ペプチドを EvoBind で生成しました。

設計の条件は次のとおりです。

  • EvoBind:total 825,000 designs
    • 33 different peptide lengths (8-40 residues)
    • 5 random seeds per length
    • 5000 iterations per run
  • Lossを指標にtop 10%を選抜:82,500 designs
  • plDDT>=85:20,387 designs
  • AF-Multimer prediction:5 designs

設計したペプチドは、GCGR に対するアゴニスト活性を示すとともに、類縁タンパク質であるGLP1Rに対する活性化も誘導しました。また天然のリガンドとは異なり、β-arrestin 活性を持たないとのことで、その作用の特異な点も見受けられます。

設計戦略として、iteration の後期だけではなく生成されたすべての中間モデルを対象にフィルタリングしている点が参考になりました。AF-Multimer による構造予測を 20,000 ほどの大規模で実施していることから、その必要性が伺えます。