【AlphaFold】AlphaFoldを活用したペプチド性バインダーデザイン手法 EvoBind について

論文タイトル

Design of linear and cyclic peptide binders of different lengths only from a protein target sequence

出典

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要旨

AlphaFold の点変異予測を活用したペプチドバインダーデザイン手法 EvoBind2 を紹介した論文です。

解説など

今回はバインダーデザインの新規手法の解説です。本論文で紹介する EvoBind2 は線形または環状のペプチド性のバインダーをデザインするための手法になります。

本手法の特徴は、Evolution に由来する名のとおり、逐次的に変異を導入しながら AlphaFold のメトリクスに基づいて最適な配列を探索する点にあります。拡散モデルのように妥当な構造・配列を一度に生成するのではなく、分子進化アプローチを採用した手法です。

デザインプロセスは、下記のとおりです。

  • 指定したデザイン長に従うランダム配列を初期配列として設定する
  • AlphaFold-Multimer で標的抗原との複合体構造を予測
  • 下記指標に基づくロススコアを算出
    • pLDDT
    • 結合界面間の距離
  • 配列に変異を導入
  • 2~4 を繰り返して、ロススコアの低い配列を選択

基本的には、AlphaFold-Multimer の点変異構造予測の精度に頼ったアプローチになります。デザインのユーザビリティとして、標的エピトープや配列長などに制約なく、バインダーがデザインできるのは優れた点です。

実際にウェット試験で、バインダーがデザインできることを確認していて、最も高い親和性のデザインでは、19 nM の KD を示したとのことです。

親和性強度(KD)とロスやペプチド長には相関が弱いとのことで、正確な結合強度の予測は難しく、効率的にバインダーをデザインする手法としての活用が期待されます。RFDiffusion と比較したデザイン性能や計算コストが気になるところです。