【抗体スクリーニング】天然配列へのback mutationで、抗体のdevelopabilityが改善

論文タイトル

Boosting antibody developability through rational sequence optimization

出典

MAbs. 2015;7(3):505-15.

Boosting antibody developability through rational sequence optimization - PubMed
The application of monoclonal antibodies as commercial therapeutics poses substantial demands on stability and properties of an antibody. Therapeutic molecules ...

確認したいこと

  • 抗体の発現量を改善する計算予測手法

要旨

不溶性を示す物性の悪い抗体に対して、計算予測で物性を改善する変異体のデザインに成功しています。

解説など

こちらの論文は、先日紹介した記事と同じく、抗体の非臨床開発においてdevelopabilityを改善する手法を紹介しています。

今回の論文は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム社からの報告です。CMCの開発が困難であることが既知の抗体が対象となっています。

解析手法の詳細は引用論文に委ねられているのですが、基本的には、データベースに登録された既知の抗体レパトアの配列情報から、各ポジションにおける各アミノ酸の出現頻度の情報を活用しています。従って「天然らしさ」を指標に、優れたdevelopabilityの配列を予測する手法となります。改善が必要な親抗体に対して、back mutationを導入することで物性改善を試みています。

評価指標は、以下のとおりでした。

  • 抗体発現量 (mg/l)
  • DSC
  • RALS
  • Tryptophan fluorescence
  • SEC (メインピーク割合)
  • Antigen binding (SPR)
  • ΔΔG

結果としては、重鎖と軽鎖それぞれに変異を導入して、それらを組み合わせることで、<<1 mg/Lから、>100 mg/Lまで、発現量が改善していました。天然配列へのback mutationだけで、これだけの成果が出せるかどうかはケースパイケースかもしれませんが、統計解析の際のスコアの算出法に、なにか工夫がないか、確認したいと思いました。

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