【de novoデザイン】「抗体」に「幻覚」を、FvHallucinatorの概要について

論文タイトル

Hallucinating structure-conditioned antibody libraries for target-specific binders

出典

Hallucinating structure-conditioned antibody libraries for target-specific binders
Antibodies are widely developed and used as therapeutics to treat cancer, infectious disease, and inflammation. During development, initial leads routinely unde...

確認したいこと

  • 抗体のde novoデザイン事例

要旨

抗体配列をデザインする手法、FvHallucinatorを提案した論文です。

解説など

抗体は、デザインハードルが高い分子形です。VH/VL相互作用を担保したうえで、抗原結合のためにループを対象にエンジニアリングする必要があるためです。抗体に特化した手法や実績が蓄積されることは、実現可能性を判断するのに大変参考になります。以前には、抗体の構造予測にRoseTTAFoldを適用した事例を紹介しました。

本手法は、その名の通り”hallucination”フレームワークを活用して、抗体に特化したデザインを目指して開発されています。

FvHallucinatorを用いることで、標的とする構造に近い抗体構造をデザインすることができます。つまり、抗原結合に関与するホットスポット残基そのものをデザインすることはできませんが、既知のモチーフをその結合活性を保ったまま、モデルがデザインする抗体スキャフォールドにグラフティングするようなことが可能になります。

アーキテクチャのワークフローは以下のとおりです。

  1. 初期配列をランダムに生成する
  2. DeepAbモデルにより、アミノ酸配列に対する構造情報(残基間距離・配向)を予測する
  3. 予測構造と、標的構造情報の差分(損失)を計算する
  4. 損失を最小化するために、勾配を修正する
  5. 修正されたパラメータを参照し、最尤のアミノ酸配列を選択する

本手法を用いると、3分/配列(NVIDIA A100 GPU)で配列を生成できるとのことです。

実施例においては、FvHallucinatorによって生成された配列が、天然の抗体配列と類似していることが示されています。目的の構造をもつVH/VLペアがデザインできていることも特筆する点だと思いました。抗原結合に関与するパラトープのデザインもできるようになるまで、もうすぐでしょうか。

追加調査したいこと

  • DeepAbの詳細について

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