【タンパク質デザイン】リガンドペプチドでタンパク質の集積化を誘導

論文タイトル

De novo design of allosterically switchable protein assemblies

出典

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.11.01.565167v1

要旨

リガンドペプチドの結合によって、タンパク質間の集積化を誘導できるタンパク質のデザイン事例です。

解説など

既往の報告として、エフェクターペプチドが結合することで、ヒンジ領域が可動するタンパク質のデザイン事例が存在します。

Design of stimulus-responsive two-state hinge proteins - PubMed
In nature, proteins that switch between two conformations in response to environmental stimuli structurally transduce biochemical information in a manner analog...

このタンパク質を使って、リガンドペプチド結合によって、タンパク質間の集積化を誘導できるタンパク質をデザインしたデータが本論文で紹介されています。

これまでにも、アロステリックな変化で機能が変わるタンパク質のデザイン事例は存在していましたが、シングルチェインにおけるローカルなリガンド結合で、タンパク質間の相互作用を伴う4次構造の全体変化を誘起できるデザイン事例は存在しませんでした。

筆者らは、このようなタンパク質をデザインする上で、Monod-Changeux-Wyman モデルを参考にしています。これはタンパク質部分構造のエネルギー論で、デザインの制約条件を定める方法です。

デザイン手順としてはまず、このヒンジモジュールがリガンドペプチドに応答して、アセンブルするように、LHDと呼ばれる過去に報告された結合界面を利用しました。このヒンジモジュールと LHD との融合には、WORKSと呼ばれるデザインソフトウェアが利用されています。デザインされた構造モデルは AlphaFold2 を利用してスクリーニングしています。

彼らはこのデザイン手法を活用して、ペプチド結合に応じて、環状リングや2面体ケージなどの様々なシステムをデザインしています。

このようなエネルギーベースのデザイン手法を活用することで、詳細な側鎖間相互作用の最適化を重視しなくでも、望みのタンパク質が設計できることは、重要な知見です。