論文タイトル
In silico design of stable single-domain antibodies with high affinity
出典

In silico design of stable single-domain antibodies with high affinity
Antibody-based therapeutics have become indispensable in modern medicine, but traditional methods of antibody discovery often present with limitations in develo...
要旨
抗体の最適化パイプライン EvolveX を紹介した論文です。
解説など
本レポートはベルギーにあるルーベン・カトリック大学の “Switch Laboratory” からの発表です。筆者らは抗体の計算機デザイン手法を提案していますが、近年活用が進んでいる深層学習ではなく、従来の物理化学的な分析や構造サンプリングに基づくモデリングを活用した手法を提案しています。具体的には、既知の抗体や抗原構造をもとに、分子最適化を行う手法です。
彼らの提案する抗体設計パイプライン (EvolveX) では、
- ModelX:抗体モデリング
- FoldX:相互作用エネルギー、熱安定性の評価
- TANGO:凝集性の評価
というツールを利用してデザインを行います。手順は次のとおりです。
- ModelX で鋳型複合体構造をモデリング
- リガンドから 8 Å 以内の CDR 領域をアラニンに置換
- FoldX の PSSM 機能で変異アミノ酸探索
- ランダム初期配列を生成
- FoldX で相互作用エネルギーと熱安定性を予測
- 遺伝的アルゴリズムの最適配列を探索
筆者らは、Vsig4 という標的抗原を対象に EvolveX の性能を評価しています。Nb119 という mouse Vsig4 に結合する VHH クローンが存在する状況から、
- mouse Vsig4 に強結合かつ developability の高い配列を探索
- human Vsig4 に強結合を示す配列を探索
の2つのタスクに取り組み、どちらも目的にそった配列の提案に成功しています。
精緻な水素結合や静電相互作用を最適化するには適した手法である可能性があります。本文でも言及されているように初期のモデル精度が成績に大きな影響を及ぼすことは重要な点です。