【構造予測】VHH抗体のin silico構造予測手法まとめ

論文タイトル

VHH Structural Modelling Approaches: A Critical Review

出典

Int J Mol Sci. 2022 Mar 28;23(7):3721.

NCBI - WWW Error Blocked Diagnostic

確認したいこと

  • 抗体に特化したin silico構造予測手法

現在最も予測精度が高いと考えられる構造予測手法にあたりをつけたく、レビュー論文を調査しました。

要旨

VHHの構造予測手法について解説した総説です。

章立て

  1. 緒言
  2. VHHモデリング
    1. 原理と開発の歴史
    2. 抗体とVHHの特性
    3. ModellerとModWeb
    4. ABGEN
    5. Web Antibody Modelling
    6. SWISS-MODEL
    7. MoFvAb
    8. Prediction of Immunoglobulin Structure
    9. AbodyBuilder
    10. Lymphocyte Receptor Automated Modelling
    11. Phyre2
    12. RaptorX
    13. Rosetta/Robetta/Rosetta AntibodyとVHHモデリングへの応用
    14. AbPredict2
    15. Biovia Discovery Studioの抗体モデリング
    16. MOEの抗体パイプライン
    17. Schrodinge BioLuminateと抗体パイプライン
    18. MacromoltekのSmrtMolAntibody
    19. I-TASSER/C-I-TASSER
    20. QUARK/C-QUARK
    21. AlphaFold2
    22. RosettaFold/DeepAb
    23. NanoNet
  3. 考察
  4. 結言と展望

解説など

本論文は、抗体、特にVHHに特化して構造予測手法を概観しています。各節ごとに、ツールの原理と応用例が紹介された構成です。本論文で取り上げられたin silicoツールは、章立てをご覧いただければと思います。

抗体の構造予測はAMA (Antibody Modelling Assessment)-IとAMA-IIの2度のコンペティションの結果から、そのCDRを予測することの難度が改めて浮き彫りになっています。

またVHHは、抗原結合に寄与するCDRループの数が通常抗体と比べて少ないものの、一部のVHHはH3が長かったり、データベースへの登録数が少ないなどの、特有の課題があります。

本論文で紹介されたツールを見てみると、現時点ではウェブサービスが停止したツールも複数あり、その長い開発の歴史が想像できます。またDiscovery Studioや、MOEなど市販されたツールについても言及されているのが特徴的でした。

3章の考察において、この論文で取り上げられた以下のツールについて、筆者らは独自にその予測精度を比較しています。

  • Modeller(single-template/multi-template)
  • ModWeb
  • SwissModel(best sequence identity template/second time with the best GMOE score)
  • AlphaFold2
  • RoseTTAfold
  • NanoNet

比較検証の結果、NanoNetとAlphaFold2が、実験構造に最も近いモデルを予測することが実証されています。この結果はCDR3に限定した結果でも同様でした。

追加調査したいこと

本比較試験で優位性が示された、NanoNetについて今後調査してみようと思っています。

コメント