論文タイトル
RosettaRemodel: a generalized framework for flexible backbone protein design
出典
PLoS One. 2011;6(8):e24109.

確認したいこと
Rosettaの使い方を学習できるコンテンツを作成したいと思い、Rosettaの仕組みについて勉強中です。
要旨
Rosettaに実装された、タンパク質をデザインするための統一インターフェースである、RosettaRemodelについて紹介した論文です。
章立て
- 緒言
 - 結果
- 現在のアプリケーション
 
 - デザインと実装
- 設計ファイルとインターフェース
 - RosettaRemodelのセットアップ
 - 配列設計
 - 骨格構造設計
 - 直接フラグメント生成による、骨格構造のリモデリング
 - 複数の構造に対する最適化・クラスタリング・チェックポイント機構のための軌道保持
 - 反復設計機構と最適化
 - 伸長と除去
 - 制約条件
 - 対称性
 - デノボ構造モデリング
 - ジスルフィド結合
 - 応用機能
- ドメイン挿入とモチーフグラフティング
 - つなぎ止めのためのドッキング
 - ドメイン局在、アセンブリなど
 - 局所サンプリング、指向性をもつライブラリの生成
 - リモデリング配列の構造予測と評価
 
 - 結言
 
 - 利用方法と将来展望
 
解説など
RosettaRemodelは、モデリングに関わるRosettaのツールやアルゴリズムを統一的に扱うためのインターフェースです。RosettaRemodelでは、”blueprint file”と呼ばれるテキストファイルに定められたフォーマットで記述することで、以下に示すデザイン工程に必要な、様々なツールを活用することができます。
- Rosetta力場
 - PDB由来のねじれ角ライブラリを用いた、フラグメントアセンブルによる骨格構造の構築
 - ループ閉鎖アルゴリズム
 - 最安定エネルギーを探索するための反復配列設計手法
 - 局所フォールディングのシミュレーション
 
ブループリントファイルの記述方法は、RosettaCommonsのチュートリアルページにも記載されていますので、ご参照ください。
対象のタンパク質の各残基に対して1レコードずつ、アミノ酸・2次構造などの制約を記述していく形式です。特殊な制約条件を付与しない限り(cstファイルの使用など)、開始のPDBファイルと、このブループリントファイルの2つだけ準備すれば、デザインを実行することが可能です。
ここからアルゴリズムの詳細についてです。配列設計における側鎖変異やロータマーの再サンプリングには、RosettaDesignのresfileで利用していた、あらゆるコマンド(PIKAA, ALLAAなど)をそのまま使用することができます。本文中では、その他、
- -find_neighbors
 - -design_neighbors
 - -num_trajectory
 - -save_top
 
などのオプションについて説明されています。疎水性コア→溶媒露出表面の順にデザインモデルはランキングされ、配列設計されるとのことです。
骨格構造は2次構造(ヘリックス、ループ、慎重さ、変性)の断片から構築されます。アセンブルの際には、PDBに登録された非冗長構造群に含まれるねじれ角のデータセットから、フラグメント構造をサンプリングし、定められた2次構造型に従って組み立てられます。デフォルトで使用されるフラグメント数は、他のRosettaツールで一般的に使用されているのと同じく、1,3,9アミノ酸からなる200セグメントです。
内部ループのモデリングには、CCDまたはKICのような閉鎖アルゴリズムが用いられます。
このようなアルゴリズムを通じて、RosettaRemodelには、以下の基本的なデザインを実行できる機能が備わっています。
- Fixed backbone design
 - Remodel (鎖長の変化なし)
 - Extension
 - Deletion
 - Constraints
 - Symmetry
 - De novo structure
 - Disulfide
 
さらに、アディショナルな機能として、ドメインの挿入、モチーフグラフティング、末端のテザリングなどが可能です。一方で、RosettaRemodelは2次構造予測までは行わないため、配列のみから直接構造を予測する目的には使用するべきではありません。
Rosettaについて、詳細を理解するには、このようなインターフェースが存在することを知りつつ、さらに内部のアルゴリズムや参照ツールの理解が必要でしょう。

  
  
  
  
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