論文タイトル
Computationally designed high specificity inhibitors delineate the roles of BCL2 family proteins in cancer
出典
Elife. 2016 Nov 2;5:e20352.
Checking your browser - reCAPTCHA
確認したいこと
タンパク質ベースのバインダーデザインについて、深層学習以前の手法開発の歴史をさかのぼって調査しています。前回と今回の記事で、Bcl-2バインダーデザインの報告をピックアップして紹介します。
要旨
既存の結合界面構造を出発点として、相同性の高いファミリー間で結合特異性のある分子を計算機でデザインした報告です。
解説など
本論文では、天然のBcl-2ファミリータンパク質それぞれに対して特異的に結合するバインダーのデザイン法を紹介しています。デザインの出発点は、先日紹介した計算機デザインタンパク質BIND1です。従来の変異導入とディスプレイライブラリを用いた分子探索ではなく、計算機設計で特異性の高いバインダーをデザインしています。
設計のコンセプトとしては、BH3モチーフとBcl-2ファミリータンパク質との相互作用界面は高度に保存されているためエンジニアリングは困難とみて、BIND1の足場残基を拡張することによって、特異性の改善を試みています。
標的抗原は以下に挙げる6つのタンパク質です。
- Bcl-2
- Bcl-xL
- Bcl-W
- Mcl-1
- Bfl-1
- Bcl-B
具体的な手順は下記のとおりです。
第1ステップ
- 各Bcl-2ファミリータンパク質に対して、BIND1のドッキングモデルを構築
- 標的界面の8Å以内の残基に対してRosettaモンテカルロ配列設計プロトコルを適用
- グラフト残基と主鎖座標は固定
第2ステップ
- 標的界面の12Å以内の残基に対して、剛体最小化を行う
- 各配位に対して5-10デザインを生成し、有利な結合エネルギー、少ない界面の極性原子の数、高い形状相補性であったデザインを選択
- 大腸菌発現で可溶性のタンパク質を精製
- 結合評価
ファミリー内のタンパク質間とはいえ、複数の標的抗原に対して特異的なバインダーデザインに成功しており、手法の汎用性の高さが窺えます。ポイントは既知の結合界面を出発点としている点で、このような情報のないタンパク質に対する結合分子のデザインが、これからのデザイン手法の開発における焦点となっている、という歴史的背景があるといえます。


コメント