【合成生物学】デノボデザインタンパク質によるロジックゲートの開発

論文タイトル

Designed protein logic to target cells with precise combinations of surface antigens

出典

Science. 2020 Sep 25;369(6511):1637-1643.

Designed protein logic to target cells with precise combinations of surface antigens - PubMed
Precise cell targeting is challenging because most mammalian cell types lack a single surface marker that distinguishes them from other cells. A solution would ...

確認したいこと

デノボデザインの応用事例として、論理回路デザインの事例を調査しました。

今回の記事では、先日の記事で紹介したCage/Keyシステムの別の応用事例について紹介します。

要旨

Cage/Keyシステムを利用して、2重抗原陽性細胞を検出するシステム、Co-LOCKR について紹介した論文です。

解説など

本研究では2種類の標的抗原を発現する細胞を特異的に認識するシステムを構築しています。具体的には、Cage と Key のそれぞれに、各標的抗原を結合するドメインを融合します。Cage と Key がともに1つの細胞に結合するとき、つまり両方の標的抗原が発現するときに、Latch ドメインの結合モチーフが露出し、アクティブになります。本システムでは、Bcl2 に結合する Bim2 ペプチドが挿入されているため、Bcl2-AF594 分子を添加すると蛍光を示す仕組みです。このシステムを筆者らは Co-LOCKR と呼んでいます。

本論文では、1 AND 2 だけでなく、以下の論理回路への応用も紹介しています。

  • 1 AND (2 OR 3)
  • 1 AND 2 NOT 3

また、この仕組みを利用してヒト Bcl2 を細胞外に提示する CAR-T 細胞によって、複数抗原を発現するがん細胞への傷害に適用しています。

Cage/Key とレポーター分子が必要ということで、臨床応用のハードルは少し高く感じますが、様々な応用方法が想像でき、合成生物学に有用なツールのように感じます。

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