論文タイトル
Protein-protein interaction prediction methods: from docking-based to AI-based approaches
出典
Biophys Rev. 2022 Dec 17;14(6):1341-1348.

確認したいこと
先日の記事に引き続き、複合体予測手法についてベンチマークしました。
要旨
AF2前後のタンパク質複合体構造予測手法をまとめたレビュー論文です。
章立て
- 緒言
 - タンパク質間ドッキング
 - スコアリングモデル
 - ホットスポット
 - テンプレートに基づく手法
 - AF2を相互作用予測に適用した初期の試み
 - AF2-multimerとAF2を超えるための最近の試み
 - 抗体・抗原相互作用
 - 結言
 
解説など
先日の記事よりも、さらに昔までさかのぼって、複合体構造予測手法の開発の歴史を紹介した文献です。
まず初めに、過去10年間で開発されたドッキングシミュレーションの代表格としては、以下の方法が挙げられます。
- HADDOCK
 - ClusPro
 - ZDOCK
 - LightDock
 
これらの手法は、モデリングとスコアリングの両方で、構造情報とともに進化情報や実験情報も使用しています。配列的に保護されている領域の情報は、特に酵素やシグナル伝達タンパク質に対するモデルに重要な役割を果たすそうです。
ドッキングモデル構造の評価に利用されるスコアリング手法にも、以下に示す様々なものがあります。
- iScore:GraphRankとHADDOCKのエネルギー項の線形に組み合わせたスコア
 - Das’s method:ΔG、水素結合、塩橋、表面積などに基づくスコア
 - DOVE:3D畳み込みニューラルネットワークに基づくスコア
 
その後は、AF2についての実績をレビューする流れになります。RosettaFoldにおけるマルチマー予測への適用に始まり、AF2 → AF2-multimer へと変遷していきます。
AF2の代替となり得るモデルには、以下のような例が挙げられます。
- OpenFold
 - Uni-Fold
 - MegaFold
 - HelixFold
 
このなかで、マルチマー予測に成功したのは、Uni-Fold だけであったとのことです。また、MSA フリーなモデルである、OmegaFold、ESMFold、IgFoldは、AF2 と同等の性能を達成できていないのが現状です。
本論文では、抗原・抗体複合体の構造予測についても言及しています。既存のドッキング手法を抗原・抗体複合体予測に適用したベンチマークや、結合界面予測手法のひとつであるPECANなどが紹介されています。

  
  
  
  

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