【抗体ヒト化】抗原結合能を維持するヒト化配列を構造ベースでスクリーニング

論文タイトル

Reliable energy-based antibody humanization and stabilization

出典

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要旨

抗体ヒト化をより効率的かつ安定に行うための新たな計算手法「CUMAb(Computational hUMan AntiBody design)」を提案し、その有効性を実験で示した研究です。

解説など

抗体のヒト化手法の紹介です。近年では大規模言語モデルを活用した humaness スコアに基づくヒト化手法が多く開発されていますが、親抗体がもつ抗原結合活性を維持してヒト化配列を設計することにはいまだ課題があります。

本手法は、構造モデリングに基づく設計アプローチを採用することでこの課題を克服する手法を目指しています。具体的なデザインフローは次のとおりです。

  1. 親抗体のCDR配列を固定
    • デザインの入力は親抗体のFv構造(モデル構造も可能)
  2. IMGT データベースから取得したすべてのヒトV/J遺伝子の組み合わせ(>20,000通り)を CDR を移植
    • Asn-GlyやAsn-X-Ser/Thrモチーフ、CDR外の過剰なCysは除く
    • 移植時はH3ループのD遺伝子を固定
  3. Rosettaによる構造モデリングとエネルギー最小化
    • Rosetta の all-atom モデリングを用いて、各設計の構造を再構築
      • サイドチェイン再配置(packing)
      • 全体の構造最小化(minimization)
    • 抗原が存在する場合は、抗原とのインターフェース残基を固定して計算
  4. CDR構造の整合性確認
    • CDRの主鎖原子(Cα)が親抗体構造から0.5Å以上ずれている場合は除外
  5. エネルギー評価とクラスタリング
    • Rosetta の ref 2015エネルギー関数で全モデルをスコアリング(ヒト化Fv構造単体の構造安定性を評価)。
    • V遺伝子サブグループ(IMGT定義)ごとにクラスタリング → 各クラスターから代表構造を選定。

論文内では、CUMAb を複数の抗体を対象に適用してその性能を検証しています。

構造ベースのスクリーニングがやや古典的な手法に依存している点が課題ですが、最新の構造予測モデルに置換することで性能の改善が期待できます。またデザインアプローチにおいても FR shuffling 等を採用することで成功率を改善できるかもしれません。

コードはこちら。

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