【タンパク質デザイン】T-cell engager の分子形もインシリコで最適化

論文タイトル

Engineering multispecific antibodies with complete killing selectivity through the closed-loop integration of machine learning and high-throughput experimentation

出典

Engineering multispecific antibodies with complete killing selectivity through the closed-loop integration of machine learning and high-throughput experimentation - PubMed
On-target, off-tumor toxicities remain a major barrier for T-cell engagers in solid tumors. We present EVATM, a closed-loop design platform integrating high-thr...

要旨

高スループット機能アッセイと多目的ベイズ最適化を閉ループ統合し、抗原密度依存 avidity を設計原理として HER2×CD3 TCE の完全選択的活性を実現した論文です。

解説など

LabGenius Therapeutics からの報告です。

筆者らは、T-cell engager (anti-HER2 x anti-CD3) の活性最大化を目的に、バインダーの親和性増強のような CDR の配列最適化ではなく、分子形そのものの最適化手法を開発しています。これにより、抗原密度差 × 多価結合(avidity)を利用して標的細胞に対する特異性を発揮する分子の実現を試みました。

具体的に分子形最適化のために対象としている設計変数は次のとおりです。

次元内容パターン数根拠
ValencyαHER2 の数3 通り1価・2価・3価(valency 1–3)
TopologyαCD3 の位置・順序12 通り図5および Methods に明記
Spacinglinker 長10 通り5–50 aa(10 種類の linker)
Affinity単価 αHER2 の KD48 通り48 種類の HER2 sdAb(異なる親和性)

これらに各モジュールの配置順序が加わり最終的に44,160 通りの中から最適な分子形を探索しています。

筆者らは分子形最適化のために、DMTL closed loop による配列探索を実行しました。

  1. Design
    • multi-objective Bayesian optimization(MOBO)
      • EI, EHVI, 重み付き和など複数の獲得関数を採用
    • 目的関数:
      • Potency(HER2-high 活性)
      • Selectivity(HER2-high / low 比)
  2. Build
    • sdAb(VHH)遺伝子モジュールをGGAで組み立て
    • HEK/Expi293 発現、QC(monomer ≥80%)
  3. Test
    • NFAT activation assay(各検体11濃度でアッセイ、AUCを算出)
  4. Learn
    • Gaussian Process を更新

結果的に、計5サイクル980分子の実評価で目的の活性をもつ分子形を探索しています。

配列最適化のように事前学習された大規模モデルの活用が制限された問題設定におけるデファクトスタンダードのアプローチとして、非常に有用であると感じます。