論文タイトル
Improving de novo Protein Binder Design with Deep Learning
出典

確認したいこと
深層学習を利用した、タンパク質構造予測・デザイン手法をベンチマークしています。
要旨
AF2やProteinMPNNを使うことで、バインダーのデザイン精度を向上させることができることを実証しています。
解説など
タンパク質性バインダーのデノボデザインが上手くいかない原因は、以下の2種類に分類されます。
- 設計したバインダーが、デザイン通りのフォールディングを示さない
- 設計したバインダーが、標的抗原に結合しない
抗原相補的な結合界面をデザインすること以外に、デザインした分子自体のフォールディングを正しく予想する必要があるということです。
本論文ではそれぞれのデザイン過程において、設計の妥当性を評価するステップを追加することでデザインの精度を上げることができるか検証しています。具体的には、AlphaFold2、ProteinMPNNがその目的に用いられています。
評価のためのデザイン手法には、以前ご紹介したRifGen/RifDockの手法が用いられています。
ALK6/LTK6/IL10R/IL2Rの4種類を標的抗原として、RifGen/RifDockで2万配列を生成した後に、AF2でフィルターしています(pAE_interaction < 10)。LTK/IL2Rでは、Rosettaに基づくフィルタリング手法と比較して、ヒットレートが、それぞれ8,30倍上昇していました。またRosettaでバインダーが認められなかったALK6/IL10Rについても、AF2フィルター条件ではその存在が確認できました。
AF2ではスクリーニングに計算コストがかかりすぎる(デザイン当たり約30 GPU/秒)とのことで、筆者らはさらにProteinMPNNで代用できるかも検討しています。ProteinMPNNは非常に高速で、Rosettaではデザインにつき350 CPU/秒必要なところ、約2 CPU/秒で生成することができます。一方でProteinMPNNとRosettaではデザインの設計成功率は同じくらいであるため、性能の低下は伴わないとのことです。
ディスプレイライブラリを用いる必要があるかどうか(10^4数あたりが閾値?)で、フィルタリングによる配列選抜のインパクトは大きく変わると思います。各種手法を組み合わせて、計算効率が改善されることを期待します。
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