論文タイトル
Computational redesign of protein-protein interaction specificity
出典
Nat Struct Mol Biol. 2004 Apr;11(4):371-9.

Computational redesign of protein-protein interaction specificity - PubMed
We developed a 'computational second-site suppressor' strategy to redesign specificity at a protein-protein interface and applied it to create new specifically ...
確認したいこと
タンパク質ベースのバインダーデザインについて、深層学習以前の手法開発の歴史をさかのぼって調査しています。今回は、既存の結合界面からタンパク質間相互作用の特異性を高めた実施例について紹介します。
要旨
DNase(ColE7)とその免疫阻害タンパク質(Im7)の相互作用界面を計算機で最適化し、野生型タンパク質より優れた特異性を付与したデザインの達成を報告した論文です。
解説など
筆者らは、細菌の毒性タンパク質コリシンE7(ColE7)とその阻害タンパク質(Im7)の相互作用界面を対象に、より強固に結合する結合界面の再設計を試みています。ColE7/Im7複合体は結晶構造が解かれており、結合様式は既知です。
この論文では、”second-site suppressor design”と呼ぶデザインアルゴリズムを利用しています。これは、パートナーI(野生型のColE7/Im7)との相互作用は不安定化させつつ、パートナーII(デザインタンパク質)との相互作用を補完することを目指す戦略です。
具体的なデザインフローは下記のとおりです。
- パートナーIの界面に埋もれている残基を選抜し、側鎖間の接触構造を形成する
- パートナーIとパートナーIIの結合エネルギー差が最大化する変異を選抜する
- 候補変異を組み合わせる
- 組み合わせ改変の結合自由エネルギーを計算して、予測親和性が最も高い配列群を選抜する
本手法の特徴は、相互作用タンパク質双方に含まれる残基を改変していることです。天然の標的タンパク質に対して結合するバインダーをデザインするのではなく、新規な結合ネットワークを形成するために有用な技術であるといえます。
コメント