論文タイトル
DLAB-Deep learning methods for structure-based virtual screening of antibodies
出典
Bioinformatics. 2021 Sep 21;38(2):377-383.

確認したいこと
- 深層学習を活用した抗体デザイン手法
要旨
抗原結合抗体を判定する深層学習モデル、DLAB-Reを紹介しています。
解説など
本手法も用途は、先日紹介したGreiff研の深層学習による抗体デザイン手法と同じになります。
つまり、抗体との複合体構造が存在しない抗原を標的に、結合抗体をデザインするためのツールです。解析のおおまかな流れは、以下のとおりです。
- 抗原とのドッキングシミュレーションにより、標的抗原に結合する抗体群を選抜する
- 選抜した抗体情報とドッキングスコアを訓練データとして、深層学習モデルを構築する
デザインフローにおけるアルゴリズムや訓練モデルのアーキテクチャが、先の文献と異なります。大きな違いは以下のとおりです。
手法 | ドッキング | 配列選抜指標 | 分類モデル | 生成モデル |
Greiff et al. | Absolut! | 親和性、安定性、免疫原性 etc. | RNN-LSTM | RNN-LSTM |
DLAB-Re | ZDOCK | ドッキングスコア(fnat) | CNN | – |
ご覧のとおり、バーチャルな配列生成は、本手法のワークフローに含まれておりません。
本論文では、DLAB-ReによるZDOCKのリランキング手法とともに、DVAB-VSによるスクリーニング手法も紹介されています。DVAB-VSは、ドッキングスコアであるfnatの値をもとに、binder/non-binderを定義し、それらを訓練データとしてCNNで学習された分類器です。ZDOCKとDVAB-VSを組み合わせることで、優れたbinder分類が可能とのことです。
構築した訓練モデルは、ランダムランキングをベンチマークとして、優れた精度で予測することができることを、モデルデータから示しています。また、fnatスコアから訓練配列を20%まで制限する(80%を除外する)ことで、さらに精度が上がることも示されています。
Wangらが開発したDOVEという、結晶構造に基づいたドッキングポーズをCNNで評価する解析アルゴリズムと比較しても、良い成績であったとのことです。
深層学習をドッキングシミュレーションの代替として利用するのではなく、シミュレーションの後押しのために活用しています。代替するに十分な生の構造情報は、いまだ不足している状況であると感じます。
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