AlphaFold 3を超える?IsoDDEが切り拓く次世代AI創薬エンジン

論文タイトル

Accurate Predictions of Novel Biomolecular Interactions with IsoDDE

出典

https://storage.googleapis.com/isomorphiclabs-website-public-artifacts/isodde_technical_report.pdf

要旨

IsoDDEは、未探索の化学空間における生体分子相互作用を高精度に予測するために開発された統合型AI創薬エンジンです。本レポートでは、構造予測・結合親和性予測・ポケット同定の各タスクにおいて、既存モデルを大きく上回る性能を示したと報告されています。

解説など

IsoDDEは、Isomorphic Labsが開発した構造予測機能などを有する創薬エンジンです。Isomorphic Labsは、Alphabet傘下で、汎用AI研究を推進している DeepMind から、さらに創薬応用に向けてスピンアウトされた組織です。

今回のテクニカルレポートでは、新しく開発したIsoDDEが既存のAF3に比べて大きく性能が向上されたことが示されています。

IsoDDEは、高レベルの設計思想や改良方針は公開されていますが、具体的なアーキテクチャ詳細は開示されていません。基本的にtriangular attention, pari representation, generative diffusion model といったAF3系の基本構造を前提としていることは明示されています。本文では、次のような改良が加えられていることが示されています 。

  • アーキテクチャ改善
    • signal flow の変更
    • 表現幅の拡張
    • diffusionヘッドやconfidenceヘッドの改善
  • トレーニング改良
    • データミクスチャーの工夫
    • crop size schedule
    • loss設計

本文では、タンパク質-リガンド間相互作用、タンパク質-タンパク質間相互作用など多数のベンチマークでIsoDDEの性能が評価されています。抗体-抗原複合体での性能を例に挙げると、334構造の新規インターフェースセットで評価しており、結果は以下のとおりでした。

  • DockQ > 0.8 → IsoDDE:39%, AF3比 2.3倍向上
  • DockQ > 0.23 → IsoDDE:63%

さらにCDR-H3ループ(抗体の中でも最も変動が大きい部位)の予測では、

  • ≤2Å RMSD達成率:70% (AF3:58%)

と記載されています。

本研究は、AlphaFold 3以降の構造予測モデル群の中で、初めて大幅な精度向上を示したと主張している報告です。特に「未知領域での一般化性能」に強く焦点を当てている点が特徴的です。