論文タイトル
Computational approaches to therapeutic antibody design: established methods and emerging trends
出典
Brief Bioinform. 2020 Sep 25;21(5):1549-1567.

確認したいこと
- 抗体のde novoデザイン手法の体系的な理解
要旨
抗体工学を対象とした計算科学的手法のレビューになります。
章立て
- 緒言
- 抗体の構造・機能・治療薬としての分子形
- 抗体関連のデータベース
- 配列データベース
- 構造データベース
- 実験情報データベース
- 抗体の計算科学による特性評価
- 抗体のナンバリング
- 抗体の構造モデリング
- 相互作用界面の予測と抗体・抗原結合のドッキング
- 抗体創薬のための計算科学手法
- 抗体のデザイン
- 免疫原性の予測
- 物性の予測
- 技術開発のトレンド
- NGSからのデータマイニング
- 抗体の代替フォーマット-ナノボディ
- 結言
解説など
抗体の構造モデリングやデザインだけでなく、ナンバリングや物性・免疫原性予測のためのツールまで、幅広く紹介されています。
ハイライトは、原著論文の表1と2に示されています。抗体関連の解析ツールが用途別に分類されて、ツール名とURLリンク、リファレンスがまとめられています。表1ではデータベース、表2では、A:ナンバリング、B:構造モデリング、c:抗体・抗原結合界面の予測、D:デザイン、E:その他抗体医薬用途についてのツールがリストアップされています。
機械学習の活用は、パラトープ解析や、物性・免疫原性の予測において、一部触れられています。この後に報告された手法も数多く存在するので、深層学習を活用した手法は別途確認が必要な印象です。
ここからは各論です。
抗体配列のデータベースについては、ユニークな配列単位の登録形式と、NGSデータ由来のバルクリードのデータベースに大きく分類されます。NGSベースには iReceptor や Observed Antibody Space など、近年リリースされたデータベースが存在しますので注目です。
構造データベースについては、SAbDabが有用と感じました。PDBからのデータを週単位で更新しているとのことで、データスケールが充実しています。
構造のモデリングはその過程で多段階のステップを必要とすることは、このブログでも度々触れてきました。
本論文ではステップごとに必要なツールに分類して、紹介されています。ドッキングアルゴリズムにおいては、分子の構造変化を考慮に入れずに剛体としてとらえた剛体ドッキングがこれまでの主流でした。この構造変化を考慮に入れた最新の手法としては、Swarmdock、HADDOCK、SnugDockが挙げられます。
標的抗原に結合するモノクローナル抗体をデザインするためのツールとしては、以下の4種類が示されています。
- OptCDR
- OptMAVEn
- AbDesign
- RosettaAntibodyDesign
本文中の結言においては、計算手法がデザインプロセスのすべてにとって代わる可能性は低く、ウェットな手法を効率化する技術として、期待を示されていたのが印象的でした。




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