論文タイトル
Folding, Reasoning, and Scaling with Open-source Drug Discovery Engine
出典
GitHub - aurekaresearch/OpenDDE: An Open-source Drug Discovery Engine
An Open-source Drug Discovery Engine. Contribute to aurekaresearch/OpenDDE development by creating an account on GitHub.
要旨
生体分子複合体の構造予測を中核としたオープンソースAI基盤モデル「OpenDDE」を提案しました。
解説など
Aureka AI Researchからの報告です。モデル名のとおり、オープンソースのモデルです。OpenDDEでは、従来のAlphaFold3系アーキテクチャをベースにしながら、いくつかの改良が加えられています。
1. Atomic latent reasoning
本研究で最も特徴的なのがAtomic latent reasoning(原子レベルの潜在推論)です。
これは構造を直接生成する前に、
- 局所的な立体構造
- 化学的な相互作用
- 分子間インターフェース
について潜在空間で推論を行い、その結果を構造生成へ反映する仕組みです。
2. より大きなPairformer
OpenDDEは655Mパラメータで構成されています。
論文ではAlphaFold3と比較して、
- Pairformerの隠れ次元を128→384へ拡張
- Pairformer部分のパラメータ数は約3倍
- 計算量は約9倍
になったと説明されています。
3. 段階的な学習
学習はWarmupを含めた複数ステージで実施されています。
論文では、
- 実験構造を中心に精密な構造を学習
- 蒸留データ(distillation data)を増やして汎化性能を向上
- 最後に高品質データへ戻して精度を高める
という段階的な学習戦略を採用しています。
結果
精度検証用のベンチマークデータとして、以下を利用しています。
- PXMeter-AB:抗体-抗原複合体の予測性能を評価
- FoldBench-AB:はより難易度の高い抗体構造予測ベンチマーク
- 2026ARK-AB:は「実運用に近い難しい評価セット」と位置付けているベンチマーク
比較対象の予測モデルは、下記のとおりです。
- OpenDDE
- AlphaFold3
- Protenix-v2
- SeedFold
- ESMFold2
結果として、OpenDDEは上位の性能を示し、AlphaFold3やProtenix-v2と競合する精度であることが報告されています。
著者らは、生体分子基盤モデルも大規模言語モデル(LLM)と同様に、データ量や計算量を増やすことで性能が向上する傾向が見られると報告しています。一方で、性能向上は徐々に飽和する傾向も示されており、今後はデータ品質やアーキテクチャの工夫も重要になると述べられています。

